2014年11月9日日曜日

HONDA NC700S DCTのインプレッション

本来ならば今週末は、ツーリングクラブのツーリング日だったのだが、雨のため延期となった。また、NC700Sに200キロ以上乗ったので、初期段階でのインプレを過去や最近乗ったバイクとの比較で書いてみようと思う。

最近試乗したMT-09とは、全く異なるバイクだ。MT-09は、かなり4気筒に近いフィーリングで、ゴーっと言う感じで加速していくが、アクセルを開いた瞬間よりも、少ししてから強烈な加速感があり、引っはられる感じだ。対してNC700S DCTは、アクセルを開いた瞬間に後ろからドドドッっと蹴飛ばされるように出て行く感じがする。最初が強烈だが、その後は一定の感じで加速が続く。

この出足の加速感は、おそらく自分でクラッチミーとしないから、そのつながり具合がわからずに身構えられなくて、より、加速感を感じるのかもしれない。雰囲気としては、ハンクラが少なく容赦なくエンジンの駆動力を後輪に伝えてしまうような感じなのだ。マニュアルシフトでは、当然ながら自分でクラッチミートするのでドッカンとくるのが怖くてそっとクラッチミートしてしまうだろう。こういうところも、DCTの面白いところかもしれない。

走行フィーリングでは、MT-09は軽い感じが強く、コーナーもひらひら曲がれる感じだ。NC700S DCTは、やや車体の動きが緩慢に感じる。簡単にぺたんと倒れてくれない代わりに、コーナーがとても安定志向だ。

MT-09とNC700S DCTを比較しても全く異なるフィーリングのバイクとしか言いようが無い。それぞれすばらしい。できるのなら2台持ちたい位だ。

ただ、共通の所もある。風圧を感かじるところや、やや、ハンドルが開いている感じとかだ。そういう意味では、ネイキッドのカテゴリーに属するバイクだ。

NC700Sのドコドコしたエンジンフィーリングはいままであまり感じたことがなかった。何しろ、最初のマニュアル車であるBandit 250は4気筒で、次のINAZUMA 400も、bandit 1250も4気筒だったのだから。

2気筒の大型バイクはこれが初めてだったりする。なのでこのフィーリングはとても新鮮だ。

そして、200kmほど走ってみて思ったのは、このドカドカとした加速感は、夏に試乗したKTMのスーパーデュークや、RC8とよく似ているという事だ。低速からドカドカと加速していくその感じは、とてもよく似ている。エンジン形式は、横型二列とV型で異なるがフィーリングは同じだ。

NC700Sのエンジンは、スペック的にはあまり見るべきものもないが、ヨーロッパのバイクメーカーが採用しているL型や、V型、水平の2気筒のスポーツバイクのフィーリングではないかと想像した。

Bandit 1250Sなどの国産4気筒のなめらかなエンジンフィーリングに比べると、荒削りで振動も大きい感じだが、その独特の鼓動感は好まれるのではないか。

乗ったことは無いが、例えばDUCATIの加速の時のエンジンのドドドッと言う感じに似ているような気がする。

なので、それらの2気筒が好きな方ならば、このNC700のエンジンは好まれるのではないかという気がした。パワー感もよく似ている。

結局のところ、気筒数が多くなるとエンジンの慣性が高いため、出足の1発目が少しスポイルされる感じがする。それに対して、2気筒や単気筒は出足の1発目がどんとでる感じなのだ。そして4気筒は、その後の止めどなく続き、かつ盛り上がっていく加速感というものがとても楽しい。さすがに、2気筒ではその感じは薄い。でも、信号待からの発進でいつもこの加速感を堪能できるのは、4気筒にない感じかもしれない。

かなり、私の想像を超える性能に驚いている。馬力の数値的には、INAZUMA 400の方が上だが、実際の走行フィーリングは断然NC700のほうが上だ。まあ、トルクはINAZUMA 400が3.7g・m程度なのに対して、NC700Sは6.2kgf・mと段違いなので当然なのだろう。

乗り心地は断然MT-09が良い。NC700Sがとても悪いという訳ではないが、MT-09が良すぎる。Bandit 1250Sと比べたらそんなに差はない感じがした。

シートは、あまり良くない。宇佐神宮へ4時間の走行で尻が痛くなった。特にシートの前が低くなっているようで、だんだんと前にずれてくるのだ。そうかといって、後ろに座るとハンドルが遠すぎて腕が伸びきってしまう。シートに関しては、何か対策しないと長時間のツーリンクはきつそうだ。ただ、Bandit 1250Sも同様だったのにだんだんと慣れてきたので、慣れるのかもしれないが。



宇佐神宮の帰りに、信号待ちしているBMWと一緒になった。後ろからしか見ていないが、恐らくR1200STではないかと思われる。左マフラーで右にドライブシャフト、水平対向エンジン、フルカウル仕様だった。

農道を一緒に走ったが、なかなか元気で3桁の速度でかっとんで行く感じだった。試しについて行ってみたが、全く問題無くついて行けた。あまりに、ついていけるので驚いた位だ。

かなり、いらついているようだったので、途中から速度を落として距離を開けた。それでも、後から追いかけて追いつくことも不可能ではなかった。

侮れない加速性能を持っている感じがした。その様子のビデオを下に記載する。


ドドッという排気音がNC700Sだ。なんとなくヨーロピアンな排気音で気に入ってしまった。特に、減速の時にシフトダウンしてエンジンブレーキがかかっているシーンがあるが、まさしくマニュアルシフトと同じ感じなのがわかる。意図的にやっているのでは無く、自動でこれをやっているのがすごい。

また、前を行くBMWも当然全開で走っているわけではなく流しているのだろう。それは私も同様だ。全開走行でついて行っているのではない。それが証拠に途中で車を2台追い越すシーンがあるが、このときにはかなりアクセルを開いた。かなりの加速で、2台の車をいとも簡単に追い越しできている。中間加速も、十分だと言うことがわかるだろう。

スペックではわからないNC700の動力性能だ。



さて、エンジンはとても良い気がしている。だが、ブレーキはどうだろうか。細くはあるが、意外に径が大きいので、そこそこの制動能力がある。さらに、かっくんブレーキではないので、コントロールもしやすい。

だが、BMWとの走行のようにそこそこのペースで走行しているときにはそれなりのブレーキ性能が必要とされるが、危ないと感じるほどでは無いが、やや弱い感じはした。普通に走行しているときには、全く問題ないのだが。

ABSも付いているので、ウエット路面など滑りやすい所でも、気兼ねなくブレーキをかけられるのはとても安心ががある。リアブレーキも、Bandit 1250Sの様にお飾りではなくちゃんと制動力があり、信号などで止まるときにも、リアブレーキだけで止まることができるほどだ。

また、コーナー中のブレーキも意外に効いてくれる。ちょっとオーバースピードぎみのときに、追加でブレーキをかけでも、姿勢が不安定になるなども無い。



一つ気になのは、左のボタン配置だろうか。

通常ウンカーは頻繁に使うものだ、対してクラクションは使用頻度はそう高くない。にも関わらず、クラクションの方が目立つ位置に有り、ボタンも大きい。通常のバイクのボタン配置は、ウインカーの下にクラクションが普通だ。それがNC700Sでは逆になっている。そのために、思わずウインカーの操作でもクラクションを鳴らしてしまうことがたびたびあった。

DCTの場合、ウインカーの下にはギアシフトのダウンボタンが付いていて、クラクションを付けるところが無かったのかもしれない。ただ、親指を伸ばした位置にウインカーボタンがあるので、宇佐からの帰りでは大分慣れて見なくても操作できるようになった。それでも、何回かならしてしまったが。

これも、慣れれば良いことなのだろう。



さて、車体の重量は、220kgと意外に重い。Banditが252kgなので約30kg軽いことになる。30kgの差がこれほどあるとは思えないくらいに軽く感じるのは、重心が低いためだろう。今回のツーリングで、引き回しているときに右側に倒れそうになったことがあったが、Bandit 1250Sだったら恐らく確実に転倒していだろうが、NC700Sではそのまま倒れずに簡単に引き戻すことができた。

これも、重心の低さから少々上体がぶれても不安定になりにくい事が、取り回しの軽さになっていると感じる。



中古で取り扱い説明書が付いていなかったが、HONDAのサイトからNC700Sオーナーズマニュアルの日本語版がPDFファイルとしてダウンロードできる。大変助かる。もし必要な人はダウンロードしておくと良いだろう。

http://www.honda.co.jp/ownersmanual/HondaMotor/motor/

上記URLにアクセスして、排気量と機種名、言語を選択すると、pdfファイルをダウンロードできる。サービスマニュアルなども是非ともダウンロードできるようにして欲しいものだ。メーカーは、マニュアルを売って儲けているわけではないだろう。車体を売って、その後のサービスとして是非ともやってほしいものだ。





大抵バイクを買うと、合い鍵を作るのだが、今回も例に漏れずに作った。

ただ気になるのは、この防犯システムだ。

作った合い鍵をメインキーに差して、ONしてみるとすべてのランプが点灯して、

セルを押してもエンジンがかからない。

純正のキーをさすと、ランプが消えて燃料ポンプの音が聞こえて、

エンジンをかけることができた。

つまり、合い鍵ではメインキーの代わりはできないと言うことだ。

せっかく、Bandit 1250Sと同様にだるまねじの様なキーを作ろうと思っていたが、メインキーとしては使えないことがわかった。

だが、その他のキーとしては使えたので、合い鍵はケースやダミータンクなどの鍵として使うことにしよう。


フロントタイヤも、完全に皮むきが終わった。

このタイヤは、ピレリのANGEL ST 120/70ZR17だ。独特なタイヤパターンが特徴的だが、NC700Sとの相性は問題ないようで、ややきついコーナーでも全く不安なく走ることができた。購入したバイクショップで交換してもらったのだが、価格は工賃込みで2万円だった。リアもほぼ新品だったので、次回交換は1万キロ先だろう。そのときには、また、NANKANGを試してみたい。何しろ安い。

1台しかなくて寂しい駐輪場が再び2台体制となった。