2016年12月29日木曜日

SUZUKI GSX S1000F インプレ

納車して2か月ほど、走行距離も2,113kmとなった。ここで、GSX S1000Fのインプレッションをまとめてみたい。

■ファーストインプレッション

まずは、ポジティブな点から。
ブルーの無印GSX S1000に試乗した時から思ったことだが、とにかく軽いの一言。にも関わらず、エンジンパワー、特にトルクが太くて非常にり乗りやすい。軽いと安定性や車体剛性不足などネガティブなことが考えられるが、それらがほとんど感じられない。というのも、アルミの強固なフレームが効いているのだろう。とにかく、少々無理しても剛性が高くてゆがみなど全く感じない。


そして排気音だ。Bandit 1250Sにヨシムラのスリツプオンをつけていたが、それに匹敵する迫力があり、低音のきいたいい音だ。マフラーを変える人が多いのは、やはり純正の排気音が気に入らないからだろう。それをSUZUKIは見越して設計したのだろう。デザインも良くていいマフラーだと感じる。音量も爆音まではいかない、そこそこの音量だ。これで車検が通るというのは素晴らしい。

逆にネガティブな面が全くないかと問われるとやはりある。
一つ目は、振動だ。4千回転近くまで回転が上がってくるとハンドルにビンビンとした振動が出てくる。これはBMW S1000XRでの3千回転でかなりの振動が出るのに似ている。ただ、GSX S1000Fはそこまでひどくなく、3千回転ほどではあまり振動は感じないが、初めて長く高速を走ったときには、手がしびれてしまったほどだった。

二つ目はギヤだ。なんとなくギヤがキチッと入らないのだ。ローは問題ないがそれからシフトアップしていくと、だんだん入ったかよくわからないあいまいな状態になってクラッチを繋ぐとギヤが抜けていたことも何度かあった。

クラッチは、R1100RSと同程度。Bandit 1250Sよりは軽い。しかし、車体が軽めなのに比較すると重く感じる。レバーを交換していてこの重さは渋滞では辛いものがある。とくに、R1200RSなどの異常に軽いクラッチを知っていると、より感じてしまう。


■慣らしが終わったあとで
ポジティブな面は、慣らしが終わったことで、さらに良くなった感じがする。エンジンはとにかくトルクフルだ。6速で1,500回転程度までがくがくすることもなく走れてしまうイージーさ。どちらかというとスポーティタイプのバイクなのにすぼらができる。そしてそこまで回転が下がっているのにアクセルをひねるとどんどん加速していくのだ。4千回転を超えるとあとはあっという間にふけ上がっていく。しかも、トルクの谷とかパワーの淀みなどがない。いままでアクセルフルオープンで頭打ちだと感じ事がない。その前に、190km/hのスピードリミッターが来てしまう。その時にも途端に回転上がらなくなる感じではなく、よく調整されている。

懸案だった中回転以上の振動も、最初のオイル交換後では、手がしびれてしまうこともなくなった。それは、私がGSX S1000Fに慣れたということもあるのかもしれない。同時に、ギヤの入りもとても節度のあるものに変わった。おそらくは、新車の時に入っていたオイルはあまり良いものではなかったのだろう。

初回はバイク屋でオイル交換してもらったので、1リットル1,500円のWAKO'S プロステージSを使ったが、今後は自分で低価格なオイルで調子のよいものを探していくことになるだろう。今のところの候補は、R1100RSで使ってよかったAZのMEO-012だ。ただ、サーキット用としている新製品MEG-018(10W-40)のほうがいいだろうか。せっかくの新車だし。これでも、リッター810円だ。



■ポジション

ハンドルは、広めで真一文字に広がっている、いわゆるストリートファイター系のものだが、これがかなり操作しやすい。ハンドルのデザインは、普通のネイキッドで面白みに欠けるが、このおかげて、軽い車体とも相まって、停止時の引き回しもとても楽だ。走り出しても、ハンドルでいかようにでも操作できる感じがし、実際に操作できる。SSのような低いセパハンではなく、アドベンチャーのような垂直に立った姿勢でもなく、傾き具合のちょうどいい前傾だ。シートも、前後に尻を動かせる自由度もあり、長距離ツーリングで姿勢を変えられる。ちょっと元気に走りたい時には、尻を後ろにすらして、ステップにつま先を載せたスタイルがしっくりくる。足はひどく曲がるので、普通なら苦しいしスタイルなのだろうが、ステップにつま先を乗せると疑似的にバックステップのような状態になって、前傾が強くなり、足が後ろに行くので思ったほど苦しくないのだ。ただ、ブレーキやギヤシフトなどの操作をするためには、足位置を前に動かす必要がある。ステップ自体は高めに感じる。その証拠にバンクセンサーはかなり長いものになっている。いや、NC700Sが低すぎたのだろう。NC700Sではよくステップをガリガリと擦っていた。
シート自体は、口コミでは好意的なものが多いが、私にはやはり固めで200kmも走ると尻が痛くなる。それでも、NC700Sのせんべいのような薄いものに比べたら良いほうだ。シートはR1100RSが厚くて良かった。しかも、高さ調整までできる。GSX S1000Fにはそのような機構はないが、Bamdit 1250S/NC700Sよりはいい方ではあるだろう。


■スクリーン

純正のスクリーンは小型だが、見てくれ以上に風防効果はあるように思う。ただ、強い向かい風だとやはりつらいものがある。もともと、フロントのカウル自体が低めで、ライダーの体を覆うカウル形状ではないためだろう。大きなスクリーンに交換したが、劇的な効果は感じないが、純正の時のような強い風圧も感じないので、効果はあるようだ。純正のスクリーンで風圧がきついと感じるのなら大きなものに変えてみるのも手だ。ただ、私の付けているPuigの可変フラップ付は必要ない気がする。この可変フラップが付くだけでかなり価格が上がるので、フラップなしで十分な気がする。


■ギヤ比
Bandit 1250Sや、R1100RSなどに比べてローギヤードだが、エンジンが気持ちよくふけ上がるためか、あまりギヤが低い事は気にならない。それよりも、そのことが利点になっていると感じる。例えば、トルクフルと感じる6速での低速特性などもその一つだろう。つまり、ギヤが低いので、6速でもかなりの低速まで使えるのだ。キヤが高かったBandit 1250SやR1100RSはトップギヤで使える速度が高かった。つまり、少し速度が落ちるとギヤダウンしなければならない。特にR1100RSでは、2,500回転以下ではアクセルを開くと左右に振られるような大きな振動が気になった。R1100RSで2,500回転は80km/h近く速度が出てしまう。一般道では、トップはパーシャル状態でしか使えなかった。加速するときや坂道に入ると、ギヤダウンが必ず必要だった。それが、GSX S1000Fでは、35km/hくらいまで6速のままで平気で走れるのだ。ただ、これだけ6速で普通に走れてしまうと、クルージング用にもっと高いギヤがあってもよかったのではないかと思ってしまう。その方が燃費的にも良いのではないか。
パワー伝達は、チェーンなのでキヤ比の変更はスプロケットで簡単にできる。将来試してみるかもしれない。



■サスペンション

足回りは、綺麗な舗装道路だとまったく問題ない。しっかりしていて、しかも乗り心地も悪くない。低価格なバイクにしてはなかなかの足回りだと思う。これ以上柔らかいと、いざという時にふにゃふにゃになって危ないだろう。
だが、荒れた道に入るとこれが全くダメ。特に、なんども掘っては埋めたような凸凹の道では、フロントがぴょんびん跳ねてハンドルを保持するのが大変だ。リアなどは、そういう道を少しでもハイペースで走ろうものなら、飛び跳ねてしまう。おそらく、ダンピングが足りてない気がする。

サスペンションは、調整可能なので、そのうちに少し柔らかめにしてみようかとは思っている。

だが、不思議なことに、舗装路を細かな縦じま模様に削ったような処理をしている路面は、意外になんとか走れてしまったりする。もちろん、振動はあるのだが、足回りの脆弱なバイクだと、だんだん振動が大きくなってどこ走っているかわからなくなるものだが、そのように増幅は無く、一定に収まっているのだ。

全体的に、やや硬めだ。それが大パワーを支えている。それに、車体が軽いことも影響しているかもしれない。



■燃費

燃費は、慣らしが終わってからさらに伸びた気がする。ただ、私のGSX S1000Fは長距離のツーリングでしか使っていないので、その点は考慮が必要だろう。それでも、平均燃費は20km/lを超えていて17リットルのタンクで300kmの航続距離が確実にある。これは、私が乗っていたBandit 1250SやR1100RSよりも良い燃費だ。ただ、車の多い街中を走ると途端に燃費は落ちるようだ。燃費計を見ていると、信号停止の多い街中だと10km/lを切る。高速を制限速度くらいで走った時が一番燃費がいいようで、24km/l程度も行く。これは、スペックの60km/h定速走行23km/lを超えている。燃費が良い理由はやはり、6速の使える範囲が広いことがあると思われる。つまり、走り出して35km/hを超えたら、もう6速でほとんど走れてしまうからだ。いままで燃費を重視して走ったことはあまりないが、それでこの燃費は立派だ。ただ、ハイオクであることはコスト的に不利だが。


■操作系

左ハンドルにある操作ボタンは、とても使いやすい。インジケータやトリップ、トラクションコントロールなどの操作がこれだけでできてしまう。走行中に簡単に切り替えられるのは本当に便利だと実感している。

ベッドライト切り替えスイッチは、最近の1本レバータイプで、向こうに押すとハイ、手前に押すとローになる。パッシングはローの状態で手前に押す事で機能する。

NC700Sでは気になっていたクラクションの位置が一番下になっていて操作しやすい。R1100RSの左右にウインカーが分離しているのは操作しづらかった。R1100RSから乗り換えてウインカーが普通に操作できるようになって本当に嬉しかった。

メーターはデジタルのあまり特徴のないものだ。私は、NC700Sで慣れていたので抵抗はなかったが、できればタコメーターだけはアナログにしてほしいものだ。特にアイドリング付近は、荒らすぎて1000回転の時もあれば、1,500回転にも見える時がある。メーター自体は、多機能でまずまず見やすい。


タイヤは、純正でダンロップ D214が付いているが、グリップ性能もよく、滑る感じがしない。もちろん、トラクションコントロールを最強の3にしているので、アクセルオンで滑ることはないだろうが、コーナーリングなどでも安定している。タイヤの持ちは、リアはまずまずいいのではないかと思う。今の状態なら、8,000kmくらいは持つのではないか。フロントはもともと溝の深さが浅い上に、ブレーキなどで強い力が加わるので先にすり減りそうだ。5,000klm持つだろうか。まあ、おとなしい私の乗り方ならもっと持つかもしれない。私の希望としては、コストもだが交換自体が面倒なので、1万キロ程度は持ってほしい。



■カスタム

売れているバイクだからか、サードパーティからもたくさんのパーツが出ていて楽しめる。私は、リアキャリアにトップボックスをつけているが、思ったほど変ではない。利便性も高く気に入っている。

さらに、スクリーンも何種類も出ている。私は、Puigの可変フラップ付のツーリング用を付けている。

タンクバッグは、GIVIのタンクロックがベストだ。金属タンクなのだが、前側1/3は樹脂カバーで覆われていて、マグネット式のタンクバッグは取り付けできない。

その他、定番のスライダーやエンジンプロテクターなど低価格で取り付けできたのは、車体の低価格も相まって助かる。Bandit 1250Sでつけていたバンパータイプのごついものが安心度が高いが、デザイン的に合わないだろう。

ほしいカスタムパーツは、やはりパニアケースだろう。2泊以上だと欲しくなるに違いない。


次は、サイドカバーだろうか。純正のサイドカバーは、ちょうど膝がある位置にある樹脂製のものだが、これがとても貧弱でいかにも安物の雰囲気がある。なんとかもう少しならなかったのだろうか。

車体がシンプルだけに、カスタムパーツが付けやすく、まだまだパーツを買いあさっている。まだ紹介していないが、年が明けたら、ぼちぼちと紹介していきたい。

ヘッドライトは暗い。純正のバルブ自体もあまり明るいタイプではないと思うが、配光が良くないのだろう。明るさが均一で無く、1か所に集中してしまっているのでより暗く感じる。それに、当然だが純正のバルブは橙色で車体のややユニークなSS的なものには似合わない。それで、とりあえず色だけでもとおもってLED化している。明るさも取るのならHIDの方がいいのだろうが、取りつけはカウルを全部外さなければならず面倒に感じる。何しろ、単なるバルブの交換でさえかなり面倒だ。

購入が秋になってからで、真夏は経験していない為、エンジンの熱さは来年の夏にならないとわからない。現状では、フレームもそんなに熱いと感じたことはない。



初期型ではECUに問題があって、パーシャル走行においてギクシャクするという不具合があったらしい。その初期型に改良版のECUと交換しても改善しないという人もいる。私のGSX S1000Fは、発売から1年ほど経っているためか、本当に調子が良い。エンジン特性を滑らかにしたのか...、逆に言うととげが抜かれてしまっているのかもしれないが。トラクションコントロールを最強の3にしても、よほどのことがない限り介入されないというのも、それが原因かもしれない。だが、私には、現状のエンジン特性はとても使いがってよく、しかもパワーも十分以上あると感じる。

全体的に、本当に購入して良かった。大型バイクでは、初めての新車ということもあるが、とにかく大きな不具合のない気持ちよく走れるバイクだ。