2015年10月2日金曜日

BMW R1200RS試乗

次にR1200RS(以下RS)だ。



スペックは以下。

エンジン
タイプ 空水冷 4ストローク DOHC 水平対向 2気筒
ボアxストローク 101mm x 73mm
排気量 1,169cc
最高出力 92kW(125ps)/7,750rpm
最大トルク 125Nm/6,500rpm
圧縮比 12.5 : 1
点火/噴射制御 電子制御式インジェクションシステム
エミッション制御 クローズドループ三元触媒コンバータ
性能・燃費
燃費(90km/h走行時)ISOモード100km定速走行 24.4km/ℓ
燃費(120km/h走行時)ISOモード100km定速走行 18.2km/ℓ
燃料種類 無鉛ハイオクおよびプレミアム、オクタン価95(RON)
電装関係
オルタネータ 508W
バッテリー 12V/12Ah、メンテナンスフリー型
パワートランスミッション
クラッチ 湿式多板油圧式クラッチ、アンチホッピング機能付き
ギアボックス 6速ヘリカルギアボックス
駆動方式 ドライブシャフト式
車体・サスペンション
フレーム トラス構造スチールパイプフレーム
フロントホイール位置/サスペンション 倒立式テレスコピックフォーク、電子制御式サスペンション可変調整
リアホイール位置/サスペンション BMW Motorradパラレバー アルミニウム製シングルスイングアーム、WADストラッド、電子制御式サスペンション可変調整
サスペンショントラベル、フロント/リア 140mm/140mm
ホイールベース 1,527mm
キャスター 114.8mm
ステアリングヘッド角度 62.3°
ホイール アルミキャストホイール
リム、フロント 3.50 x 17"
リム、リア 5.50 x 17"
タイヤ、フロント 120/70 ZR 17
タイヤ、リア 180/55 ZR 17
ブレーキ、フロント ダブルディスクブレーキ、フローティングブレーキディスク、直径320mm、モノブロック4ピストンキャリパー
ブレーキ、リア シングルディスクブレーキ、直径276mm、ダブルピストンフローティングキャリパー
ABS BMW Motorrad Integral ABS(パーシャリーインテグラル)
寸法・重量
全長 2,202mm
全幅(ミラーを含む) 925mm
全高(ミラーを除く) 1,250mm
シート高、空車時 760mm
インナーレッグ曲線、空車時 1,720mm
空車重量、走行可能状態、燃料満タン時 1) 236kg
許容車両総重量 450kg
最大積載荷重(標準装備時) 214kg
燃料タンク容量 18ℓ
リザーブ容量 約4ℓ

基本ベースが、ネイキッドのR1200Rだとは思えないデザインだ。ツアラーに分類されるのだろうが、スタイルはまるでスーパースポーツのようだ。

特に違和感を感じるのは、水平対抗2気筒のエンジン特性と、シートの低さだ。日本人向けとしてはこのシート高は足つきが良くていい。だが、同時にハンドルも低くて前傾がきつい。歴代のR1100RSやR1150RSに比べるとやや、趣が異なる感じだ。

以前のRSf、3段階のシート高調整や、ハンドルの角度調整など乗るライダーに合わせることが可能になっていたが、今のRSはコストダウンの影響か、シートを丸ごと取り替えねばならない。しかも、標準に着いているシートとの交換ではなく、追加なのはいかがなものか。コストダウンとは思えない高価格にもかかわらずだ。

一応RSとなっているが、どちらかというとRシリーズのS寄りなのかもしれない。現在R1200Sは発売されておらず、RSはBMW Motorradでの分類もツアラーではなくスポーツとなっていることからも、これが、Sの後継機種と言われても違和感はない。まあ、Sならばさらに過激なスタイルを期待してしまうのだが。ちなみに、BMW Motorradのスポーツカテゴリは、このRSと、S1000RRだ。

メーター回り。アナログの速度計の右に液晶が配置された最近のトレンドだが、大抵アナログメータになっているのは回転計だと思うのだが、RSは速度計がアナログになっている。しかも、文字が小さくて非常に見にくい。しかもメーターが低くて遠いのでさらに見にくさに拍車をかけている。メータに関してはR1200Rと同じものになっていて、RSは仕様を変更しても良かったのではないかと思う。

また、メーターだけでなくステムのトップブリッジもR1200Rと共通となっていているようで、セパハンに見えるハンドルは、バーハンドルマウントに4つのボルトで固定される形となっている。もしかすると、R1200Rのバーハンドルがそのまま使えるかもしれない。ただ、ハンドルをめいっぱいに切るとカウルに当たる可能性はある。

もう一点面白いのは、通常のキーがささるところが、ボタンになっていて、リモコンキーユニットが1m以内にあると、このボタンを押すことで電源をONにできる。もう一度押すとOFFになる。エンジンは、右ハンドルのスターターボタンでかける。

ガソリンタンクのフタにも鍵穴がない。こちらもリモコンキーが近くにあるか、エンジンを切って間もなくであれば、開けられるようになっている。鍵をじゃらじゃら抜き差ししなくて良いのはとても楽だ。

クラッチは油圧になっている。試乗車はリモコンキーがタンクの上に貼り付けられていた。

実際に跨がってエンジンをかけて最初に感じるのは、クラッチの軽さとスムーズさ、そして低音の効いたマイルドな排気音だ。S1000XRの荒々しさとは対照的だ。エンジンを吹かすと、2気筒的なドコドコという感じのいい音だ。古いBMWの水平対向2気筒は、アクセルをあおると、車体がねじられるような揺さぶりを感じるのだが、RSはそれはあまり感じなかった。ライディングポジションは、シートが低く、ハンドルも低くて遠い。なんとなく、カフェレーサーに乗った感じだ。

出足は、ギヤが高めの感じで、アクセルをやや開き気味にしないとエンストしてしまう感じがする。しかし、クラッチが繋がってしまうと、トルクフルでアクセルの開度に追従して加速していく感じがとても良い。本当に、アクセルにちょっと力を加えるだけでトラクションを感じる。

低速の路地も走りやすい。あまりギクシャクしない。ライディングポジションが地を這うように低いので、とても安定感がある。腰高のS1000XRとは、真反対だ。

私が座高が高いからか、ちょっと速度を上げるとヘルメットに直接風が当たる感じで風切り音がする。たしか風防の高さは変えられたと思うが、今回は弄っていないのでおそらくは一番低い設定だったのだろう。風防効果に関しては、S1000XRの方が高いようだ。

高速では、如何にも大排気量のリッターバイクという感じて、ギヤダウン無しでアクセルをひねるだけでぐいぐい加速していく。しかも、うるさくない。風きり音は思ったほど気にならなかったが、肩や腕に風圧を感じるので、速度感を高めに感じる。

それでは、実際の試乗動画をご覧いただきたい。




試乗中に、ヘッドライトのハイとローの切り替え方法がわからずに戸惑った。後でその方法がわかったので記載しておく。

ライトの操作が普通のバイクとは特殊で、通常のパッシングボタンのみしかないように見えた。実はそれで全ての操作を行う仕組みだった。左ハンドルの前に付いているこのレバーを、手前に引っ張るとパッシングになる。そして、逆に前方に押し出すと、ハイビームに切り替わる。ローに戻すときは、手前に引くという操作だ。

総じて、エンジン特性が非常に気に入った。スタイルもとてもかっこいい。ただ、ライディングポジションは、もう少しシートを高くするか、バックステップなどで、足の曲がりのきつさを軽減してほしいと感じた。吊しの状態でのロングツーリングは足の曲がりがきついのと、風圧で、疲れそうだ。