2015年9月8日火曜日

F1 HONDAはどうなった

最近は、F1に付いて書いていない。以前ほど熱心に見ていないからというのではなく、今も熱心に見ている。書かないのは、日本のF1の余りに注目度が無いのに諦めてしまったからだ。

とはいっても、今年からはHONDAがエンジンサプライヤーとして復帰して、注目は高まるかと思ったが、現在の状況を見ると、逆に注目されていなくて良かったのではないかと思えてくる。

とにかく、もう何も書かないでおこうと思っていたが、あまりに酷いHONDAに何か書かずにおられない気分になってきたのだ。

HONDAは、F1に限らずインディカーレースの独占エンジンサプライヤーをやっていたし、日本のレースでもスーパーフォーミュラーにもエンジンを出している。

が、それらも、どれも大成功しているとは言えない状況だ。

インディーでは、独占エンジンサプライヤーだったのが、2012年からシボレーがエンジンサプライヤーとして復帰してきて、その年のチャンピオンはシボレーだった。いままで、独占サプライヤーであったHONDAだから、当然HONDAが強いと思ったが、シボレーのほうが実際は優勢だった。2013年はHONDAがチャンピオンだったが、2014年、そして今年2015年とシボレーがチャンピオンになっている。今年からは、エンジンだけで無く、空力も2社が提供するようになったが、それでも、シボレーの優勢は変わっていない。

また、日本のオープンホイールレースであるスーパーフォーミュラーでも、TOYOTAとHONDAの2社がエンジンを提供しているが、全体的に優位なのはTOYOTAだ。

こんな状態で、2年前突然F1に復帰するといってきたのには、個人的には他のカテゴリーでも明らかな優位が有るわけでは無く、前回のF1ワークス参戦で惨憺たる状況で撤退したHONDAが、本当にまともに出来るのかと疑念が沸いたというのが、偽らざる私の思いだった。

それでも、やっと日本のメーカーがF1に戻ってきた事は、素直に喜んでいた。もしかすると何かの間違いで、まともなエンジンを開発するかもしれないと薄い期待を持ったのも本当だった。

それが、今年の今までの状況を見ると、その期待は完全に裏切られている。惨憺たる有様と言っていい。マクラーレンそのものも、去年メルセデスのエンジンを使っていながら、たいして成績はふるわなかったのだから、チームとしてすでに低迷の状態だった。そのためなのか、何を血迷ったか、HONDAにエンジンを変えてしまったのだ。メルセデスにエンジンを変えたことで、低迷状態から上位に上がるようになったロータスや、ウイリアムズの例を見てもわかるとおり、そして、常勝チームだったレッドブルが、低迷していることからも、いまのF1でエンジン性能の影響が大きい事のは偽らざる事実だ。そして、今のF1はエンジン性能の差が非常に大きくなっている。

なかなか成績のふるわないマクラーレンが、HONDAに変えたのは、まさしく大博打で、今のところそれは大失敗だと言っていいだろう。

それにしても、弱小チームであるマノーを除けば、最下位チームといっても過言では無い状況にまで落ちるとは驚いた。

それに、HONDAのF1プロジェクト総責任者を務める新井氏の言動も、全く、配慮に欠けるというか、何もわかっていないのではないかと思わせているのも、HONDA不信に拍車をかけている。

例えば、今度のエンジンは、3番目のエンジンサプライヤーであるルノーよりも馬力が上がっていると言ったりする。それで、期待して見ても、どこが変わったのかと思えるほど、性能が伸びないのだ。

エンジンは良いが、マクラーレンのシャーシがだめだから、こんなにだめというのなら、組んだ相手が悪すぎたのかもしれないが、シーズンはじめから、まともにテスト走行すらできない状況では、テスト時間が限られる現状のF1においては、シャーシの開発が進まないのは仕方ないところもある。低迷チームがそんな状況で上向くわけも無い。

そして、エンジン性能が低いとされるルノーエンジンを載せているレッドブルが、シャーシ性能によって少なくとも、10位以内になんとか入れたりしているのを見るに付け、エンジンだけでは無くシャーシ(マクラーレン)も、本当にだめなんだなと思わせる。レッドブルもエンジン不調であまり安定した走行が行えておらず、開発に影響していると思われる。

ドライバーはワールドチャンピオン経験者のベテラン二人で、少なくとも、ドライバーの問題でない事は明白だ。

どのように考えても、低迷するマクラーレンと、全く舞台に登ったのが信じられないくらいに未完成なHONDAエンジンとの組み合わせが酷いことになっている。

今後、改善していくのか非常に疑問だ。昨年から盛り返しているフェラーリはいいとしても、昨年最悪なエンジンだと言われたルノーが、今年さらに悪い状態になっているのを見れば、どうしてHONDAが、来年表彰台に乗れるくらいに盛り返すなどと考えられるだろうか。F1は、自由にエンジン開発が出来るわけでは無く、毎年エンジン開発は規制されて、最終的には凍結されるのだ。なので、最初につまずくと、それを挽回するのは並大抵のことではない。

かわいそうなのは、HONDAでは無い、個人的には、二人のチャンピオン経験者のアロンソとバトンだ。まさか、毎回周回遅れにされるような下位チームでドライブするなどとは思わなかったに違いない。

マクラーレンも、チームとして、下手をすると存続の危機に陥るかもしれない。HONDAとの過去の栄光にすがったのかもしれないが、ここ数年の低迷で、冠スポンサーも見つからない状態だ。スポーツカーメーカーとしては、最悪の状態だ。

エンジン開発を数年かけてじっくりやるというのなら、本田宗一郎が生きていたら、マクラーレンと組む前に、マノーと組むと言ったかもしれない。そしてHONDAエンジンでマノーが上位チームを食えるほどになった時点で、マクラーレンと組むというプランだ。

高給取りである世界チャンピオン二人を採用したのは、マクラーレンだったのかもしれないが、HONDAがのんびりしたペースで開発するのなら、この二人を採用したのは大きな間違いだ。人的資源の無駄遣い以外の何物でも無い。

とにかく、HONDAが勝手に評判を落とすだけでは済まない状況だ。パートナーであるマクラーレンは大衆車をやっているカーメーカーでは無い。下手すると会社がつぶれることだってあり得る話だ。HONDAは、かなりのリソースをつぎ込んで、外部からの人も言うまでも無く雇って、早急に開発をやって、結果を出さないとならない状況だ。

私は、マクラーレン・ホンダが来年走るか疑問だと思っている。再び突然の撤退とHONDAが言うことの方が、信憑性があるように思えてならない。そんな予想が当たらない事を祈るのみだ。