2014年4月22日火曜日

AMD Sempron 3850 + MSI AM1I 低消費電力PCを組む

ここ数年、CPUの速度的進化は止まってしまっており、パフォーマンスよりも低消費電力に軸足を移した感じがある。しかし、そうなると既存のPCをリプレイスしようかというモチベーションが無くなってしまう。

ディスクトップPCの場合、そんなに低消費電力が重要という訳でもないからだ。

そんなことで、ながくPCの組み立てをしてこなかったが、ちょっと気になるアイテムが出てきたので、試しに1台組み立てることにした。というのも、CPUもマザーもそれぞれが5千円もしないのだ。
つまり、1万円以下で主要パーツが購入できるとなればちょっと試したくなる。


それが、AMDのAM1プラットフォームで、もともとノートPC向けとして開発されたAPU(CPUにグラフィック機能を統合したもの)で、CPU部分は4コアなのだ。ただし、クロックは1.3GHzと低い。それが、AMD Sempron 3850だ。そして、それを動かすマザーボードがMini-ITXサイズのMSI製AM1Iだ。

APUのパッケージは非常に小さい。数年前のAMD Athlon 64 X2のパッケージと比較するとびっくりするくらいだ。これで、CPUクーラーまで付いているのだ。

マザーボード。AM1プラットフォームのソケットは、他のCPUソケットに比べてかなり小さい。フルサイズのDDR3 DIMMメモリスロットが2基付いている。最大メモリ搭載は16GBまで。

裏側だ。

マザーボードの説明書は、これだけだ。特に必要なケースの電源ランプや、電源スイッチなどのピン配置は、赤丸に記載されたモノのみで、このピンがマザーボートのどこに配置されているかが知りたいのに、それが記載された説明書がないのには少々困った。ただ、説明書きに、JFP1とJFP2との記載があるのみだ。しかし、マザーボード上にはJFP1はあったが、似たような9ピンの端子が2組隣り合わせで有り、どちらがJFP1か分からなかった。JFP2は無かった。

それで、配線にちょっと手こずった。せめて、マザーボードのピン配置図は欲しいところだ。

これが、APUだ。TDPが25Wと低いので、クーラーもかなり小型だ。

グリスは、ヒートシンクに付いていた。

これがAPU本体。

裏側。最近のCPUは接点方式「LGA」になっているのにたいして、AM1はAPU側にピンが立っていている「PGA」で、剣山のようだ。

APUをソケットに刺した。差し方は簡単で、右のレバーを起こして、CPUを刺せる方向に刺して、レバーを倒して引っ掛けるだけだ。

問題は、ヒートシンクの固定方法だ。こんな感じに、固定具を取り付ける。

形が扇状になっている。

そして、先割れしたとがった方をマザーボードの穴に差し込む。とは言っても、ぎりぎりの長さなのでなかなか容易にさせない。

そして、このピンを扇状の上から差し込んで、先割れしたピンを広げて抜けないように固定する形だ。

実際に、ピンを刺した状態を裏から見ている。だが、本当にこれでちゃんと刺さっているかよく分からず、なんども刺してしまった。ピンや保持具がプラスチックなのであまり力一杯差し込むと容易に曲がってしまう。非常に脆弱なので気をつけなければならない。

ピンぼけて申しわけないが、これがピンを刺した側の状態だ。なんだか隙間があるような感じで、ちゃんと刺さったかよく分からない構造だ。

メモリーは、手持ちのモノを使うことにした。

DDR3 1333の2GBを2枚で、4GBだ。これだけあれば問題無いだろう。

メモリーを差した状態。メモリスロットは片方は固定で、もう片方のみにリリースレバーがついている。

ハードディスクは、ノートPCに使っていた128GBのSSDだ。

ケースは、新調した。JMAXのITXケースで、JX-FX100B ITXだ。なんと言っても、300Wの電源が付いているのかいい。

安いだけあって、デザインはそれなりだし、フロントの真ん中にある電源スイッチを押すとフロントパネルがへなへなと曲がる。

裏側。電源は、フロント側に有り、見えているファンはケースファンで8cmだ。かなり低速で回っており、高発熱のCPUで使うのは難しいだろう。安いからか、標準のリアパネルは付いていない。普通マザーボートに付属するので問題無いが。


ケースの蓋。薄くてへなへなだ。

ケース用のケーブル。電源スイッチ、HDDランプ、電源ランプ、オーディオ、USBとなっている。

電源ケーブル。

マザーボードのリアパネルを先に差し込む。

Mini-ITXとしては大型とはいえ、やはり狭い。マザーボードを配置するのにも少し手間がかかった。

ケース用端子の配線。これが分からずとりあえず差してみた。

設置して、電源スイッチを押すが全く電源が入らない。おかしいと見てみたら、リアの電源ケーブルがちゃんと刺さっていなかった。

問題無く起動して、先日購入した外付けドライブにWindows 7 64bit版のDVDを入れてインストールを開始。やはり、1.3GHzとクロックが低いためか、やや時間がかかる感じがする。


なんとか、インストールが完了した。しかし、まだ、ドライバーが入っていないので、解像度は低いままだ。


ドライバーCDを入れて、全部のドライバーをいれる。グラフィックドライバーはチップセットドライバーに入っていた。

解像度も高くなって、普通に使えるようになった。

WIndows 7がSP1に入っていないものだったので、何度もWindows Updateが走った。最初ですら133件だった。

その後も、なんどか更新があって、結局300程度もいれただろうか。これだけで大層時間がかかる。


が、この画面のように何かしている最中に突然に、地デジのノイズのような画面になったかと思うと、ハングアップしてしまう現象が発生した。Windows Updateの最終にも何度かハングアップした。それでまたはじめから当て直しになり、結局別途SP1をダウンロードして、当ててなんとかしのいだ。


チップセットドライバーを最新のベータ版にすると、頻度がかなり減ったが、それでも数時間でフリーズしたり、突然再起動したりする。

やはり、出たばかりのシステムに手を出して失敗したかと思った。

結局、色々弄っても解決しなかったが、このように完全にフリーズするのはメモリの不具合があるときが多いので、DDR3-1600の4GB DIMMを1枚購入してきて試しにつけてみたところ、症状が完全治まった。

問題は、メモリーにあったようだ。ただ、このメモリは別のシステムでは問題無く動作するので、相性と言う事になるのかも知れない。


現在は、とても安定して動作している。これから熱くなってきても、低発熱だし、HDDもSSDだから、今後がこれがメインになりそうだ。ただし、ビデオ編集などの作業にはさすがに力不足で、これでやろうとは思わない。

少し使ってみたが、1.3GHzというクロックから想像するのろさはあまり感じない。Webブラウジングもそんなに遅く感じずに、まあまあ普通だ。4コアというのが効いているのだろう。

フルハイビジョンの動画ファイルも意外に普通に再生できた。さすがに発熱も少なく、動作中にCPUクーラーを触ってもほとんど熱さを感じない。

総じて普通に使用するのには特段問題もない。低価格で、低発熱でなかなかいい感じだ。標準のCPUクーラーのファンもあまり煩くなく、ケースファンも1つなので騒音も低い。