2014年1月25日土曜日

F1 小林可夢偉がケータハムのドライバーに

先日新聞を読んでいたら、小林可夢偉がF1に復帰するという記事が出ていて驚いた。別に可夢偉がF1ドライバーとして復帰したことで驚いているわけではない。一般紙でも取り上げられるのだなぁ
と驚いたのだ。

一昨年の10月、私はこのブログで可夢偉について書いている。

可夢偉はいずこへ(2012/10/09)

そこですでに、可夢偉がザウバーにとどまらない可能性が高いと書いたが、結局その通りとなり、昨年はフェラーリのWECドライバーとして1年を過ごした。

2012の暮れに、すでに残り少なかったドライバーシートにケータハムがあり、彼のエージェントがそのシート獲得について交渉していたと伝えられていたが、可夢偉はそれを蹴ってエージェントも解雇したとの事だった。

そして、そのことについて可夢偉は「下位チームに入っても仕方ない。自分は勝てるチームに入りたい」と言っていた。

昨年WECでも下位カテゴリーで注目もされないところで走って大した成績も上げられなかった。

そして、一昨年あれだけ下位チームとはと言っていた彼が、昨年の最下位チームに無給でやっとシートを獲得することになった。

1年でも、F1から離れてしまうと、もうこんなに苦労しなければシートの獲得は難しいと言うことが分かったのか。さらに、大きくF1の仕様が変更になる今年、何が何でもそれを体験しておかねば、それこそもう二度とF1のシートには戻れないと言う危機感があったのだろう事は想像に難くない。

彼が、どれだけドライバーとしての技量があっても、それを認めさせるのは、やはり実力のあるエージェントが必要なことは当然だが、彼自信の人間性も問われると、私は考えている。

彼が能力の高いドライバーであったとしても、彼の日ごろの行いによって、スポンサーが現れないことになれば、チームとしてはやはり魅力は半減だ。ペイドライバーでなく、実力のあるドライバーとしてのアロンソやライコネンでさえ、その人間性によってチームのスポンサーがより豊かになったり、そのドライバーを獲得するための多額の資金の提供を得られるのだ。ペイドライバーでなければ、当然多額の給与を支払わねばならず、それはお金を出す人の納得する人物でなければならない。

協調性が低いと言われるライコネンにしても、'彼が'なのか、彼のマネージメントなのかはわからないが、ことある事に彼の人間性というものをアピールしている。そう、たとえば、「ほっといてくれ」Tシャツなどいい例だ。

私の可夢偉評価は高くない。技術にしても、そのキャラクターにおいてもだ。

特にその実力においては、新人でありながら光るものを見せたセルジオ・ペレスのマクラーレンでの成績を見れば想像がつく。彼は、ザウバーで2位や3位を複数回獲得して見せた。もし、さらに車の性能が上がれば、優勝の常連になるのではないかと思えた。しかし、マクラーレンに入ってみれば、ハミルトンに比べると劣ると思われるバトンにさえ25ポイントもの大差をつけられた。そして、チーム自体も一度の表彰台も取れないと言う最低の1年だった。この責任が彼にもあったのは明確だ。対して、ハミルトンが移籍したメルセデスは、躍進して5位から2位となり、彼自身も前年のマクラーレン時代の190ポイトとほぼ同じ189ポイトを取っている。ハミルトンの移籍によってメルセデスが5位から2位に、逆に彼のいなくなったマクラーレンが、3位から5位に後退したのは、ハミルトンの影響が無いとは考えられない。これがトライバーの実力だろう。

これを考慮すれば、ペレスが移籍したことでマクラーレンが低迷した要因の一つであったことは否定できないだろう。そして、可夢偉はそのペレスに劣ると考えられるので、可夢偉の実力が垣間見えることになる。さらに、彼が昨年F1に乗らなかったことは、彼の為にも大層残念なことだと言わざるおえない。この1年のブランクが可夢偉に悪影響を与え、好転する要因とはならないことは間違いないと思えるからだ。

しかし、日本人である彼の足を引っ張ってF1から追い出したいと思っているわけでは決してない。同じ日本人として、ぜひとも応援したいし、彼にがんばってほしい。だが、せめて眉をひそめたくなるようなプライベートや、言動については何とかしてほしいと思っている。そして、そんなプライベートで浮名を流す余裕があるのなら、そんな余裕が無くなるくらい、四六時中F1の事を考え、死に物狂いでやってほしい。F1の世界で日本人を代表するドライバーなのだから。

そして、昨年最下位チームだったケータハムが最下位を脱出できるのか。代表のトニー・フェルナンデスは、昨年同様に他チームより2秒遅れで下位を走るのなら撤退だと言っている。まあ、当然だろう。しかし、カスタムカーメーカーのケータハムがF1を撤退すれば、本業にも多大な影響を及ぼすだろう。これが、ホンダやトヨタなどの一般大衆車をメインとするメーカーならば製品で勝負もできるだろうが、スポーツカーメーカーであるケータハムは、そのブランドイメージの低下はかなりのものだろう。

だが、最下位に落ちている事は単にドライバーがだめだとか、車の性能が足りないとかそういったことだけではない。チーム全体にかかわることだ。例えば、ピット作業一つとっても、コース上で1秒縮めるのは、相当なドライバーの頑張りが必要だが、ピット作業では簡単に1秒と言うタイムを失ってしまう。フリー走行でクラッシュしてしまった車体を完璧に修繕する能力も高くなければならない。
そして、レースの戦略もだ。ちょっとした判断の遅れのために、ピットインの好機を逃してしまうことなどざらだ。経験と相当に判断能力が高くなければならない。それらの一つでも欠けると、表彰台からノーポイントに陥落してしまう事も珍しくない。レースウィークの間、ドライバーだけでなく、チームのすべてが、ミスなく、速く、完璧に処理されなければポイントなど取れないのだ。



可夢偉がその手助けになるなら素晴らしいが。ザウバー時代のように、新人のチームメイトに後れを取るようなことの無いように願いたいものだ。


今年のF1は、可夢偉の参戦だけでなく、大きくF1カーの仕様が変わる年だ。エンジンがV型6気筒1,600ccと、まるでファミリーカー並みの排気量になる。代わりに、ターボやハイブリットシステムなどで補強され、出力的には従来とほとんど変わらない性能を発揮するらしい。大きく今までと異なるシステムに変わることになる。そして、各エンジンメーカーの勢力図がどのように変わるか、ルノーエンジンを搭載するレッドブル、昨年2番手の位置をキープしたメルセデスや、3位に落ちてしまったフェラーリが巻き返すのか。それ以下のカスタマーチームの動向もドライバーが変更になったりして大変興味深い。

最後に昨年で2年契約が切れたフジテレビのF1放送だが、なんとか今回も契約を更新したようだ。前回同様、地上波放送は無く、BSとCSとなっている。都会では、地上波放送が有利だが、地方では系列局が無かったりして見たくても見れないことがあるから、BSはその点日本全国すべてで見れると言うメリットがある。ただし、ワンセグなどのポータブル機器では見れないというのは大きなマイナス点だ。それでも、放送を継続してくれるのはありがたい事だ。日本でも、景気が上向いてきているので、スポンサーが増えて、盛り上がってくれるといいのだが。